令和4年度の当初予算案並びに関連議案の審議をお願いするにあたり、施政方針を述べさせていただきます。
1 はじめに
昨年4月の市長就任から、10ヶ月が経とうとしています。
就任以来、私は、対話とチャレンジを旗印として、市政を担ってきました。対話では、多くの市民や団体と意見交換し、様々な場に赴いて話を伺ってきたほか、チャレンジでは、デジタルの活用などにより、未来を見据えた施策を展開してきました。
しかしながら、新型コロナウイルスの影響を受け、思い描いたように進まなかったこともあります。これからも日々精進を重ね、より良い市政を目指してまいります。
こうした中、今もなお新型コロナウイルスとの闘いが続いています。一時、猛威を振るったデルタ株は収束に向かいましたが、今回のオミクロン株はさらに手強い相手となって、私たちを襲っています。
この難局を、私たちは協力し合って乗り越え、ポストコロナの新しいまちづくりに取り組んでいく必要があります。
今、掛川市は、SDGs未来都市として持続可能なまちづくりを進め、地域や学校では、デジタル化が急速に進んできています。この流れを止めることなく、SDGsとDXをまちづくりの基軸とし、チャレンジを重ねていくことが、これからの時代に対応した新しい掛川市に繋がっていくはずです。
パンデミックは時代の転換点でもあります。掛川市が、これからの時代も選ばれるまちとなるために、積極的に掛川市の魅力を発信し、すべての市民が持てる力を存分に発揮することができる、ポストコロナ時代に対応したまちを創ってまいります。
2 自治体経営の基本事項
次に、自治体経営の基本事項について申し上げます。
1 組織機構
令和4年度組織機構は、全国公募した二人目の副市長を迎え、民間のスピード感や柔軟性を備えた新しい市政を目指すとともに、第2次総合計画を着実に実行し、SDGsやDXの推進による、誰ひとり取り残さない、持続可能なまちづくりのための組織としました。
まず、市民や外部への情報発信力を強化するため、「秘書広報室 政策秘書係」を設置し、わかりやすく戦略的な情報発信を進めます。また、「DX推進課」を設置し、誰ひとり取り残さない、人にやさしいデジタル化を推進します。この2つの課には、公募により選ばれたプロフェッショナル人材に入っていただき、専門性を活かした取組を進めていきます。
一方、市内の産業を、より一層活性化していくため、「産業活性化推進室」と「ふるさと納税推進室」を設置するとともに、中山間地域の振興や海岸線地域ビジョンを推進する「中山間・海岸線地域振興係」を設置し、市全域の活性化を図ります。
その他、効果的な公共施設経営を推進するための「資産経営課」や、ふくしあの総合調整を行う「地域医療推進係」を設置するなど、市民サービスの向上と効率的な行政運営を進めていきます。
2 当初予算
令和4年度当初予算は、「未来チャレンジ予算」といたしました。
コロナ禍による社会情勢の変化の中で、感染症という危機に隣り合いながらも人々が豊かで安全・安心に暮らしていくために、DXやニューノーマルといった新たな考え方が生まれました。これらの価値観や創造力を駆使しながら、市民や企業等の様々な挑戦を応援するとともに、市民一人ひとりが輝く未来の実現に向けて挑戦をしていくための予算としたもので、これにより各施策を推進していきます。
予算配分については、第2次総合計画を着実に推進する事業や、感染症対策、DX推進事業等に予算を重点配分したほか、コロナ禍による閉塞感を打破し、新しい考え方や感性、デジタル技術等を活用して構築した事業を職員から募った「未来チャレンジ枠」事業についても、15事業、3,500万円を予算化しました。
その結果、一般会計は509億1千万円で、前年度当初予算と比べ、24億3千万円、5.0%の増となりました。また、特別会計と企業会計を合わせた予算総額は、864億765万円となりました。
3 重点施策
次に、令和4年度の重点施策について、第2次総合計画の7つの戦略の柱の分野ごとに申し上げます。
1 教育・文化分野
1. 新しい学校教育の創造
はじめに、新しい学校教育の創造についてです。
より良い未来を創っていくことができる人づくりの観点から、新たな価値を生み出していく「創像力」、他者と力を合わせ協合する「創合力」、自覚と責任を持って行動し続ける「創律力」の3つの創る力を備えた子どもを育成していきます。「個別最適な学び」と「協働的な学び」をキーワードに、iPadや教育アプリ等の新たな学習手段を効果的に活用し、リアルとオンラインのハイブリット型授業を進めます。また、独自開発したアプリ「心の相談ノート」の運用や情報モラル教育の推進により、新しい時代に応じたICT活用能力を育てていきます。
学校再編については、「園小中一貫教育」の効果的な推進、少子化の進展や市内の人口偏在、学校施設の老朽化等を踏まえた「小・中学校再編計画」の策定に向けて、地域や保護者との対話を進めていきます。
大東及びみなみ学校給食センターの統合では、調理室改修工事や厨房機器新設・更新工事を進めていきます。
2. 文化・スポーツの振興
次に、文化・スポーツの振興についてです。
ポストコロナ時代における文化の振興を図り、市民の豊かな心を育んでいくため、文化振興計画を改定していきます。将棋によるまちづくりでは、今回の王将戦の経験を活かし、官民連携によって、関連イベントやおもてなしを工夫し、掛川市の魅力を全国に発信していきます。かけがわ茶エンナーレでは、昨年の「茶」と「アート」を融合した「まちづくり芸術祭」の成果を踏まえ、次回の開催に向けて企画の検討に取り組んでいきます。
文化財の保存と活用については、計画的な保護保存・活用を推進する地域計画を策定していきます。掛川城は、天守閣復元から27年が経過し、漆喰壁等の老朽化が顕著であることから、石垣の安全対策工事と合わせ、6月から大規模な修復工事を実施します。松ヶ岡と吉岡大塚古墳は、引き続き、整備工事を進め、完成後、郷土の歴史を学ぶ場として広く活用していけるよう、市民協働の取組を進めていきます。
三熊野神社大祭の祢里行事では、地元の皆様にご協力いただきながら民俗文化財調査を実施し、国の重要無形民俗文化財の指定に向けた取組を進めていきます。
スポーツの振興については、オリンピック・パラリンピックの感動を未来に引き継ぎ、市民のスポーツ機運の醸成を図るため、選手と市民が交流できるイベントを開催します。
2 健康・子育て・福祉分野
1. 新型コロナ感染症対策
はじめに、新型コロナ感染症対策についてです。
ワクチン接種については、2回の接種を完了した市民の割合は9割となり、全国や県の平均と比べても高い接種率となっています。感染拡大防止や重症化予防のため、3回目の接種を進めるとともに、5歳から11歳の子どもについても、速やかに接種を開始できるよう医療機関等との調整を進めます。
感染拡大を防いでいくためには、市民一人ひとりの協力が必要不可欠となります。改めて、基本的な感染予防対策として、不織布マスクの着用や感染リスクの高い行動の回避を呼び掛け、新しい生活様式の定着を図るとともに、抗原検査キットを活用し、クラスターの発生防止にも努めていきます。
2. 子育て支援
次に、子育て支援についてです。
幼児教育・保育環境の充実では、4月に大東大須賀区域認定こども園の4園目となる「おおぶちそよ風こども園」、掛川区域の「千羽すぴか保育園」の開園により、90人の保育定員の増加を図ります。あわせて、大東大須賀区域認定こども園化の完了に向けて、令和5年4月に開園予定の「きとうこども園」の建設等を支援していきます。
子育て世帯に親しまれている、子育て総合案内サイト「かけっこ」については、最新のデジタル技術を取り入れたサイトに刷新していきます。写真や動画を増やし、位置情報を使った各種情報の提供、子どもの年齢等に合わせた健診や予防接種のプッシュ通知機能を追加します。さらに、子育てガイドブックなどの電子書籍化を行い、子育て世帯の利便性の向上を図っていきます。
学童保育については、感染症対策に気を配りながら38クラブを運営していきます。
3. 社会的弱者への支援
次に、社会的弱者への支援についてです。
高齢者の介護予防については、通いの場での健康づくりを進めるとともに、コロナ禍でも安心して取り組めるオンライン講座や動画ページなどを積極的に提供していきます。また、切れ目のない地域リハビリテーションを推進するため、リハビリ専門職との連携を深めていきます。
認知症については、誰もがなりうるという意識をすべての市民で共有することが大切となります。認知症になっても尊厳を保ちながら、住み慣れた地域で安心して暮らせる地域共生社会を目指し、「共生」と「予防」を両輪とした施策を進めます。
ひきこもりの方の支援では、新たに「あいりーな」に居場所を確保するとともに、支援体制の充実に力を入れるなど、ひきこもりの方の社会参加に繋がる取組を進めます。
障がいのある方の就労では、コロナ禍の影響もあり雇用の回復が道半ばにあることを踏まえ、就労先の新規開拓や障がい特性に応じた支援を進め、定着率の向上にも努めます。
また、オミクロン株の影響により増加が見込まれる生活困窮者の生活を支えるため、今月から住民税非課税世帯等に対して、臨時特別給付金を速やかに給付していきます。
3 環境分野
1. 脱炭素社会の推進
はじめに、脱炭素社会の推進についてです。
地域循環共生圏の確立については、地域新電力事業を核とした地産の自然エネルギーの最大限の活用と、自然環境、景観などと調和した太陽光や風力発電施設の普及、さらには、省エネルギーの組み合わせによる資源循環を図ることで推進していきます。
また、持続可能な脱炭素のまちづくりを推進するため、環境学習や啓発活動による市民意識の底上げを図るとともに、環境人材の育成に努めます。
新たな廃棄物処理施設の整備では、安全で安心かつ安定的な稼働を基軸に、ごみ処理の際に発生するエネルギーの有効活用を検討し、地域の多様なニーズにも応えられる脱炭素の拠点となるよう、市民との対話や菊川市との連携を図りつつ進めていきます。
森林の保全と活用については、森林経営管理制度や森林環境譲与税を活用し、市民生活に関連する地域の森林整備を着実に実施します。また、林道、作業道の整備を推進するとともに、炭素を固定し、地球温暖化対策へ貢献する木材利用を促進していきます。
2. 持続可能な上下水道
次に、持続可能な上下水道についてです。
水道事業については、新水道ビジョンの基軸である「持続」「安全」「強靭」を目指し、基幹管路や原谷配水池の耐震化を図るとともに、官民連携や広域連携を進めていきます。また、簡易水道事業は、持続的な維持管理ができるよう最適な事業運営について検討していきます。
下水道事業については、生活排水処理実施計画の見直しをまとめ、汚水処理人口普及率の向上を推進していきます。また、汚水処理施設を適切に維持管理するとともに、持続可能な経営のため、旭ヶ丘、海戸の両地区を公共下水道に統合するなど、ストックマネジメントを推進していきます。
リニア建設に伴う大井川の水問題では、引き続き静岡県や流域市町と連携しJR東海に対して、流量減少と水質悪化に対する市民の不安や懸念を払拭するよう求めていきます。
4 産業・経済分野
1. 産業の振興
はじめに、産業の振興についてです。
興国インテック株式会社の工場新設が進んでいる大坂・土方工業用地については、西工区南側の造成と企業誘致を進めていきます。上西郷地区整備推進事業では、ポストコロナ社会を見据え、官民連携による効果的な整備を事業協力予定者と推進していきます。
新エコポリス第3期地区については、東山口地区まちづくり委員会と連携し、早期の事業着手を目指していきます。新東名(仮称)掛川第2PAでは、民間事業者と協力し、令和7年度の開業に向け、事業の進捗を図っていきます。
事業者支援については、コロナ禍で変化している事業環境への対応を促すため、テレワーク環境の整備やECビジネスなどを支援していきます。
また、ふるさと納税返礼品の効果的なPRや体験型などの新たな返礼品の開発を進めて、掛川市の魅力発信と地域経済の活性化に繋げていきます。
2. 力強い農業の確立
次に、力強い農業の確立についてです。
攻めの農業、儲かる農業への支援については、新たに三井地区を加えた市内12地区において土地改良事業を進めるとともに、担い手となる新規就農者・後継者の確保と育成、地域農業者の組織化・法人化を支援していきます。また、「人・農地プラン」を進めて、農地の集積・集約や複合経営を推進していきます。
掛川茶の振興については、5月に策定予定の茶振興計画に基づき、生産体制の強化、流通構造の改革、消費拡大策を推進していきます。掛川茶のブランド戦略として、「掛川茶リブランディングプロジェクト」を継続実施し、掛川茶への関心を高め、消費拡大に繋げていきます。
また、好調な茶の輸出に対応するため、有機栽培への支援や、産地として積極的に取り組むための全市的な体制を構築していきます。
5 シティプロモーション分野
1. 魅力発信で選ばれるまち
はじめに、魅力発信で選ばれるまちについてです。
市政情報、市の魅力等の発信に向けては、プロフェッショナル人材の広報戦略のもと、メディアを最大限活用するなど、市内外へ向けた「伝わる力」を強化していきます。情報拡散力が高いSNSでは、登録者数が3万人を超えた市公式ラインにおいて、セグメント配信を有効に活用していくほか、わかりやすくタイムリーな情報発信に努めます。
シティプロモーションについては、掛川の名を広めたサッカー漫画の金字塔「シュート!」続編のアニメ放送に合わせて、ジュビロ磐田とのコラボ企画などを展開し、掛川市の認知度を高め、市民の誇りにも繋げていきます。
移住・定住の促進では、官民連携による移住促進ネットワークを強化し、二地域居住や関係人口の拡大を図ります。オンライン相談やおためし移住体験の充実のほか、地域おこし協力隊による掛川市の魅力や暮らしやすさの情報発信を強化していきます。
2. 観光交流の推進
次に、観光交流の推進についてです。
来年のNHK大河ドラマ「どうする家康」では、徳川家康の生涯が描かれます。関係が深い、掛川城、高天神城、横須賀城などの歴史資源の活用、講演会の開催や広域での取組を進める等、大河ドラマの放送に合わせて地域全体を盛り上げ、観光交流客数の増加を図ります。
修学旅行やスポーツ合宿等の教育旅行については、受入体制を充実させ、補助金を活用してもらうことで、学生の誘客を進めるとともに、新たな旅のスタイルともなっているワーケーションの来訪者を増やすため、受入環境の整備に補助をします。
観光情報の発信では、インスタグラム等のSNSを効果的に活用し、魅力的でホットな情報発信に努めるとともに、新たに観光施設や飲食店等を魅力的にまとめたパンフレットを作成し、ターゲットに合わせた誘客を進めていきます。
6 安全・安心・都市基盤分野
1. 防災力の強化
はじめに、防災力の強化についてです。
家庭の防災力の向上については、災害時における情報伝達の重要性から、防災メールの登録や防災ラジオの設置を進めるとともに、「家庭の避難計画」をスマホからでも作成ができ、家族で共有ができるよう、デジタル化をしていきます。また、最新の知見を踏まえて、「防災ガイドブック」を改訂し、各家庭へ配布することにより、自らが住む地域の危険性や様々な防災情報を周知していきます。
広域避難所の機能強化では、広域避難所に指定されている市内4高校で「高校生ドローン隊」を育成します。災害時は被災状況の調査、平常時は防災訓練や学校行事でもドローンを活用するなど、全国初となる取組を進めていきます。
原子力災害への備えでは、広域避難計画の避難先となる富山県や愛知県の27市町村と協議を進め、現地調査や「避難経由所運営マニュアル」の作成を進めていきます。
2. 災害に備えた整備
次に、災害に備えた整備についてです。
海岸防災林強化事業「掛川潮騒の杜」の整備については、盛土材の確保のため、国や県、民間事業者から提供いただく土砂を活用し、令和8年度末の完成を目指し、取り組んでいきます。あわせて、市民、企業等との協働による植樹・育樹活動を推進し、市民が集う海岸林を育てていきます。
災害に強い社会基盤の整備では、有事の際の輸送路や避難路を確保するため、耐震補強や修繕が必要な橋梁について、耐震化、長寿命化を計画的に推進していきます。また、河川流域のあらゆる関係者が協働し、流域全体で水害を軽減させる流域治水を進めるとともに、今後の治水対策をまとめた「総合治水計画」を策定していきます。
3. 消防救急の迅速化・高度化
次に、消防救急の迅速化・高度化についてです。
救急出動については、年間4千件近い出動があり、中でも高齢者の搬送は増加傾向のため、専従救急隊の効果的な運用や、感染症対策などの救急体制の充実を図ります。
一方の火災では、建物火災が全体のおよそ6割を占めることから、防火対象物等への立入検査の強化や、一般家庭への住宅用火災警報器の設置や適切な管理を推進していきます。
また、災害への対応力を強化するため、新たに雨天や夜間飛行ができる高機能ドローンを導入します。
地域防災力の要である消防団では、組織再編や分団定数などの検討を進めるとともに、消防ポンプ車の更新や消防団員の処遇改善を行っていきます。
4. 多極ネットワーク型コンパクトシティの推進
次に、多極ネットワーク型コンパクトシティの推進についてです。
掛川駅周辺の賑わい創出については、現在の「かけがわストリートテラス」の取組に加えて、空き店舗を活用した新たな社会実験等を行い、「歩いて楽しめるまち掛川」を目指します。掛川駅周辺のバリアフリー化では、点字ブロック整備を進めるほか、南北通路ほのぼのパスへのエレベーター設置工事に着手します。また、掛川城周辺の歴史的な街並みに調和した空間づくりのため、無電柱化、石畳風舗装、サイン整備などを推進していきます。
市街地南部の土地利用構想については、JR掛川駅や東名掛川ICに近い県道磐田掛川線沿線の地域を対象に、将来的な土地利用の可能性や今後のまちづくりのあり方を検討していきます。
下垂木地区まちづくりでは、都市計画道路や市道の改良事業を進めるほか、大坂地区や横須賀地区においても、魅力的なまちづくりに向けて、地域との話し合いを進めていきます。
地域公共交通については、各地域の実情にあわせた公共交通モデルの構築を地域と協働して進めるとともに、お達者半額タクシーの実証実験を行い、次期5ヶ年の「地域公共交通計画」を策定していきます。
5. 幹線道路の整備
次に、幹線道路の整備についてです。
南北幹線道路については、大須賀ルート「西大谷トンネルバイパス」の今年度末の開通に続き、大東ルート「市道掛川高瀬線」結縁寺IC以南の令和4年度完成を目指し、事業を推進していきます。
広域幹線道路では、4月に市道郡道坂線の開通を予定しているほか、市道桜木中横断線、市道掛川駅梅橋線、市道三井幹線の3路線についても、地域間を結ぶ重要路線として重点的に事業を推進していきます。
国道1号バイパスについては、渋滞解消のための早期4車線化に向けて、期成同盟会による要望活動に加え、市議会のご協力もいただきながら国に強く要望していきます。
東名高速道路の(仮称)掛川西スマートICの設置では、事業実施に向けて、NEXCO中日本や国土交通省、県等関係機関と協議を重ねていきます。
7 協働・広域・行財政分野
1. 多文化共生・協働のまちづくり
はじめに、多文化共生・協働のまちづくりについてです。
多文化共生については、第3次多文化共生推進プランに基づき、日本語教室の充実を図るとともに、日本で生まれ育った「第2世代」が、キーパーソンとして活躍できるよう、関係者との連携を強化していきます。また、新たに12言語に対応する3者通訳システムを導入し、相談業務の円滑化を図ります。
協働のまちづくりについては、地区まちづくり協議会や市民活動団体において、新たなニーズや課題に対応する取組が進んできています。さらなる活動の充実に向けて、情報の共有や団体同士の交流を推進するとともに、それぞれが抱える課題に寄り添った支援に努めます。「地区集会」では、地域と行政が今まで以上に情報を共有し合い、多様な方が参加し、対話によって相互理解を深めることができる形へと進化させていきます。
2. 未来に向けてのまちづくり
次に、未来に向けてのまちづくりについてです。
公共施設マネジメントについては、将来の地域や掛川市のあり方にも繋がる重要な取組であり、個別案件ごとに地域や利用者と充分に対話をしながら進めていきます。この中で、「たまり~な」については、アンケートやワークショップの結果を基に、再整備計画を検討していきます。
DXの推進については、デジタル化によって、社会の利便性の向上や新しい価値の創造を目指します。デジタル社会の基盤ともなるマイナンバーカードの普及を加速し、相談窓口の効率化やスマートフォンで手続きを完結できる「手のひら市役所」を全庁体制で進めます。また、プロフェッショナル人材の力も借りながら、DX推進計画を策定し、行政のみならず掛川市全体のデジタル化や課題の解決を図っていきます。
おわりに
「チャレンジ」は、私が最も大切にしているキーワードであり、掛川市の戦略方針の核心でもあります。
この私の考えは、11年前の東日本大震災で壊滅的な被害を受けた陸前高田市での経験によるものです。陸前高田市では、地震による大津波によって、子どもからお年寄りまで年齢に関わらず、数多の命が失われました。それぞれの人には、これからやりたいことがあり、家族があり、夢や希望があったはずです。
現地で、「生き残った自分たちは、死んだあいつの分までしっかりと生きないと」。この言葉を何度も聞いた私は、一度しかない人生を様々なことにチャレンジして、悔いのないように生きようと心に誓いました。
今、私が取り組んでいる市政についても、チャレンジがなければ、まちの成長はありません。
このチャレンジとともに「対話」も大切となります。特に、本年は小・中学校再編や、新しい廃棄物処理施設の話し合いを進めていくこととなります。
この対話とチャレンジは新しい時代を切り拓く原動力です。
たとえ難題であっても、対話によって課題を共有し、一緒になって乗り越えていくとともに、市民の様々な挑戦を応援し、掛川市としても多くのチャレンジをすることによって、市民一人ひとりが輝き、ポストコロナ時代のモデルとなる都市を創ってまいります。
以上、新年度の予算等についてご審議いただくこの議会の冒頭に、改めて、令和4年度の市政運営に対する私の思いを述べさせていただきました。着実な事業実施に向け、議員各位のご理解とご協力を重ねてお願い申し上げます。