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令和7年度施政方針

2025年2月20日更新

 令和7年度の当初予算案並びに関連議案の審議をお願いするにあたり、施政方針を述べさせていただきます。

1 はじめに

 はじめに、私が市長に就任してから、4年間がたとうとしています。ここまでの任期を振り返りながら、私の思いを述べさせていただきます。
 私が市長に就任して以降、対話とチャレンジというキーワードを大切にしながら、市民の皆様と共に歩んできました。市民との100回以上の対話を進める中で、「人」と「環境」の持続可能性が最重要課題と考え取り組みを進めてきました。この期間中、特に力を入れたのは、防災・減災対策の推進、若者や子育て世代の支援と環境政策です。
 具体的な成果としては、掛川潮騒の杜海岸防災林事業の計画を2年前倒しして市施工分の8割以上の完成、高校生以下の医療費無償化、大東大須賀区域のこども園化、待機児童ゼロの継続、ごみ減量日本一の2年連続達成などが挙げられます。また、職員提案から生まれた高校生ドローン防災航空隊や高校生チャレンジ公募事業など、若者のチャレンジ意欲を後押しする取り組みも進めてきました。
 現在掛川市は、平成17年度の合併以降、住民登録人口全体としては、20年間で約4,700人の減少、特に15歳から64歳の生産年齢人口は約11,800人が減少しており、この傾向は今後さらに加速していくものと推測しています。このことは、介護・医療分野をはじめとする労働者不足、地域コミュニティの維持、空き家の増加、文化・伝統の継承など、市民の暮らしに広く影響が生じ始めています。さらに、中長期的には、学校再編や新廃棄物処理施設に係る大型事業を予定しており、当面の間、厳しい財政運営を強いられるものと覚悟しています。
 しかし、このような厳しい状況だからこそ、未来に向けて前向きに歩みを進めていかなければなりません。市制20周年を迎える本年は、第3次総合計画の策定年度でもありますので、この2つを一連のプロジェクトと位置付け、掛川市の未来を描く重要な機会と捉えています。
 総合計画の策定にあたっては、市民をはじめ、だれもが安全に安心して参画でき、多様な意見を取り入れながら、10年後の掛川市のありたい未来やあるべき姿を明確にイメージした将来ビジョンを創り上げます。
20年の節目を、掛川市の明るい未来に向かって行動を実践に移す好機とし、困難な中であっても、前向きに、市民の皆様とともに未来へつながる道を拓き、掛川市の発展に向けて全力で取り組みます。

(1)行政経営方針の基本的な考え方

 次に、令和7年度の経営方針の基本的な考え方についてです。
 現在わが国では、少子高齢化の影響により、人口減少が進み、さらに、本格的な多死社会の到来により、多くの問題が発生することが予想されています。このような社会でも、掛川市ではこれらの諸課題に先んじて対策を講じ、市民が安全に安心して住み続けられるまちを目指す必要があります。
 このことから、誰もが自分らしく安全・安心に暮らせる社会の実現、選択的定住人口・関係人口・交流人口の増加、人に優しいデジタルと共創、インクルーシブ、グローバルな視点、ブランド化、市民のシビックプライドの醸成をキーワードとして、少子・高齢・多死社会であっても、『人と環境が持続し発展するまち』の実現に向けて、未来に向かって進化し続けるための成長アクセルを踏み込む年度とします。

2自治体経営の基本事項

 次に、自治体経営の基本事項について申し上げます。

(1)組織機構

 1番目、組織機構についてです。
 令和7年度の組織機構は、限られた人材を最大限に活用し、持続かつ発展するまちづくりの実現に向けた組織としました。主なものをご説明します。
 まず、「総務部」を再編し「人事・総務部」及び「財務部」を設置することで、時代に合わせた多様な働き方の推進・優秀な人材の確保・配置・人材育成などによる人的資本経営と、市の財政構造の適正化及び健全な財務状態の維持を図ります。
 次に、「協働環境部」を再編し「生涯学習まちづくり部」と「くらし環境部」を設置し、定住したくなる価値を追求・具体化できる生涯学習のまちづくりの推進と、環境負荷を抑えながら発展するまちづくり及び多死社会における空き家などの課題をプラスに転換する新たな価値を生み出すことを目指します。
 次に、新設する「マーケティング課」には、マーケティング、ブランディング、プロモーション、広報を担当する「マーケティング・広報係」及び「ふるさと納税推進室」を置き、データ分析に基づいた地域課題の解決とふるさと納税の強化を図ります。
 次に、新設する「地域未来共創課」には「交通政策係」と「地域振興係」を置き、持続可能な地域交通の構築及び共創による地域の活性化の実現と、中山間、海岸線施策をより強化します。
 次に、新設する「くらしデザイン課」には、新設する「空き家活用係」及び「移住定住推進係」を置き、空き家の利活用と、定住・交流・関係人口の増による地域活性化を図ります。
 次に、新設する「こども相談課」は、現在、3部5課7係で実施している業務を徳育保健センター内に集約して「こども家庭相談係」、「おやこ保健係」「発達相談支援係」の3係体制とします。妊産婦・こども・子育て当事者の相談窓口を集約することで、子育て支援体制や市民サービスの充実を図るとともに、多職種の連携強化に取り組みます。
 次に、企画政策課に新設する「グローバル戦略係」では、海外都市との直接接続による経済・観光需要の取り込みや、高度外国人材・教育機関等を受け入れ、グローバル化・知識経済化を戦略的に地域活性化に結びつけていきます。
 令和7年度の組織数は、令和6年度と比較して、2部3課増、8室減、5係増となります。

(2)当初予算

 2番目、当初予算についてです。
 令和7年度は「人と環境の持続・発展に向けたまちづくり予算」とし、節目となる市制20周年において次世代を見据えた市民が住みやすい環境づくりを意識した予算編成としました。
 予算配分については、行政経営における6つの柱を実現するための施策に予算を重点的に配分し、市制20周年記念事業に5,600万円、「空き家」子育て世代応援住宅事業などに7,194万円、原野谷学園・城東学園小中一貫校整備事業に1億496万円、AIオンデマンド交通実証実験事業(共創・MaaS実証プロジェクト)に5,000万円を計上しました。
 一般会計の予算規模としましては、海岸防災林強化事業、新廃棄物処理施設関連経費、児童手当支給費の制度拡充、学校児童生徒一人一台端末の更新等により607億2,000万円で、前年度当初予算と比べ、50億5,000万円、9.1%の増となり、過去最大の予算規模となりました。
 また、特別会計と企業会計を合わせた予算総額は、952億2,397万円となりました。

3【重点施策】行政経営の6つの柱

 次に、重点施策について、令和7年度行政経営方針に位置付けた6つの柱ごとに申し上げます。

(1)魅力・活力・賑わいを高め、掛川愛による定住・関係・交流人口を増加

 1番目の柱は、「魅力・活力・賑わいを高め、掛川愛による定住・関係・交流人口の増加」です。

市制20周年記念事業 

 1点目は、市制20周年記念事業についてです。
 本年は、掛川市制施行20周年を迎えます。これまで掛川市の発展に御尽力いただいた多くの方々に、心からの感謝と敬意を表します。
 平成17年4月に現在の掛川市が誕生して20年目を迎える節目の年を、市民の皆様とともに、これまでの歩みに感謝し、まち全体の一体感を醸成して市民の誇りと愛着を高め、未来に向けて飛躍する1年としたいと考えています。
 掛川市は、市民一人ひとりが輝き、いつでも、誰でも、何回でも、未来に向けてチャレンジでき、『人と環境が持続可能』なまちづくりを進めています。
 令和7年度は、未来を共創する仲間を増やし、誰もが安心して参画することができ、今後のまちづくりを担う世代には夢と希望を持てる機会を提供します。

空き家の利活用を促進、掛川市への移住をさらに増加

 2点目は、空き家の利活用の促進と掛川市への移住のさらなる増加についてです。
増加が懸念されている空き家を財産と捉え、経済的負担の大きい若者・子育て世帯の住まいの取得を支援していきます。また、地域課題の解決となる「空き家活用モデル事業」を実施し、今後の空き家の利活用を促進する起爆剤としていきます。
 さらに、移住相談窓口として電話やメール、来庁者への相談対応のほか、移住相談会や移住者交流会、移住体験ツアー等を通じて移住促進を図ります。また、移住コーディネーターと密接に連携し、移住者への支援と受け入れ環境を強化し、定住・定着に繋げていきます。

3城整備活用:横須賀城跡・高天神城跡の保存活用、掛川城周辺の活性化

 3点目は、横須賀城跡、高天神城跡の保存活用と掛川城周辺の活性化についてです。
 史跡横須賀城跡の保存活用については、三の丸、東外堀等の整備方針を定めた「整備基本計画」の策定や、市民参加による清掃活動で自らが史跡の魅力向上につなげる「磨き上げプロジェクト」を実施し、史跡への関心、愛着心を高め、地域おこしの拠点となるよう、整備を進めます。
 また、適切な維持管理を図るために、本丸東側法面の土砂災害復旧工事の実施設計等を進め、横須賀城築城450年に向けて、地元のみなさまと気運を高めていきます。
 史跡高天神城跡の保存活用については、危険木の樹木調査を行い、本丸の樹木伐採を行うことで、景観整備を進め、見学者の理解・関心を深めていきます。また、史跡横須賀城跡と同様に「磨き上げプロジェクト」を実施し、市民が郷土の歴史を現地で学ぶ場としても活用していきます。
 掛川城周辺の活性化については、「歩いて楽しめるまち掛川」をめざし、ウォーカブル推進事業を活用した三の丸広場の再整備や駅通りの歩行空間整備の検討などを進めていきます。

新エコポリス第3期事業の工事開始、花鳥園に隣接する南西郷地区の土地利用の検討

 4点目は、新エコポリス第3期事業の工事開始、花鳥園に隣接する南西郷地区の土地利用の検討についてです。
 新エコポリス第3期事業については、掛川市土地開発公社が事業主体となり、開発行為等の各種許認可を取得後、令和7年度中の工事着手に向け、着実に業務を進めていきます。
 また、南西郷地区の土地利用については、中心市街地と相互連携し、市民だけでなく国内外から多くの来訪者の活発な交流を促すため、掛川市の魅力が詰まった「ここにしかない」をテーマに、他所にはないサービスや商業の集積を図ることで、掛川市の持続可能な発展の契機となるよう、地域の皆さまと検討していきます。

産業支援:スタートアップ(創業、起業)、雇用の確保(若者、外国人、UIJターン)

 5点目は、産業支援についてです。
 創業支援セミナーの開催や創業相談を実施するとともに、商工団体や金融機関と連携し、創業人材の発掘から創業後の支援まで切れ目ない支援を行うほか、県が実施するスタートアップ事業を活用しながら、地域経済の活性化を図ります。
 また、企業情報サービス「カケジョブ」の利用を促進し、学生等の求職者に対し市内企業の魅力を発信するほか、高校生のための企業説明会や大学生等を対象としたインターンシップ説明会を開催し、市内企業の周知と就職支援に努めます。

農業の高度化:有機農業産地づくり推進、オーガニックビレッジ宣言や輸出支援、有機農産物・茶業・和栗等

 6点目は、農業の高度化についてです。
 有機農業の拡大については、「オーガニックビレッジ宣言」及び「有機農業実施計画」による生産体制の強化を図るとともに、人材育成、栽培知識・技術の普及や販路拡大の取り組みを推進します。
掛川茶の振興については「掛川茶未来創造プロジェクト」に基づき、茶商と茶生産者の連携による「掛川茶フェアトレード」の推進、リブランディングプロジェクトによるブランド力の強化など、「生産」「流通」「消費」を柱に施策を推進します。
 また、国や県が打ち出している海外輸出拡大の茶業振興策と連携し、海外での需要が高い、有機栽培茶や碾茶の生産拡大に加え、輸出体制強化に対する支援を行います。
遠州和栗プロジェクトについては、新たに設立された一般社団法人 和栗協議会へ参画し、広域連携や一次産業の課題等に向けた取組を進め、栗栽培を行う農家に対しては、圃場整備に関する支援を行い、栗産地の復活と遠州広域での産地化を目指します。

(2)お互いに学び高め合う機会の充実と、このまちを良くする担い手の育成

 2番目の柱は、「お互いに学び高め合う機会の充実と、このまちを良くする担い手の育成」です。

特色ある原野谷学園、城東学園小中一貫校の整備

 1点目は、特色ある原野谷学園、城東学園小中一貫校の整備についてです。
 原野谷学園、城東学園ともに令和7年度は施設の基本設計に着手します。それぞれの地域特性を踏まえた小中一貫校となるよう、引き続き保護者や地域住民の皆さんの御意見を伺いながら、新たな学校づくりを進めます。

こどもの主体性や個性を尊重した学習の推進

 2点目は、こどもの主体性や個性を尊重した学習の推進についてです。
 学校に目を向けると、不登校や特別支援、外国にルーツをもつ児童等、多様な子どもたちがいます。また、子どもたちの学習の進度や学び方の特性、興味・関心も一人一人大きく異なっています。どの子どもも自分らしく主体的に学ぶことができるよう、校内・校外の教育支援室や民間施設等を含めた多様な学びの環境を整え、多様性を包摂し、柔軟で効果的な教育の実現に努めていきます。特に、一人一台端末のデジタル技術を、学校内で活用するだけでなく、登校が難しい児童生徒とオンラインで授業をつないだり、海外とつなぎ母国語等による外国人児童生徒の学習支援を進めます。誰もが自分らしく学びにむかえるよう、「個別最適な学び」と「協働的な学び」の一体的な充実を更に進めていきます。

地域まちづくり協議会等活動支援、市内全域を生涯学習学びのキャンパスとして活用し、学びの場と地域を担う人材の育成を促進

 3点目は、地区まちづくり活動への支援や、市内全域を学びの場として地域を担う人材の育成を促進する取り組みについてです。
地区まちづくり協議会については、平成28年の全市一斉スタートから10年目の節目の年を迎えます。この間に顕在化した担い手不足などの諸課題へ対応するため、まちづくりに必要な専門的ノウハウを持つ協働アドバイザーの派遣等を行い、事務局体制の強化や人材育成を支援します。
 また、掛川市内の魅力的な場所やひと、もの、ことを集めた「掛川100景」を活用し、市内全域を生涯学習学びのキャンパスと見立て、地域のいたるところをスモールモビリティで巡るなど楽しみながら学ぶ機会を提供していくことで、地域に愛着を持ち、地域のまちづくりに参画する人材の育成を促進します。さらに、まちづくりに参画する人材が今の時代にふさわしい生涯学習まちづくりのあり方を市民の視点で学び、語り合い、チャレンジや実践できるまちの醸成を目指します。

全国に先駆け、令和8年度に部活動の地域展開

 4点目は、部活動地域展開についてです。
 令和8年夏の(仮称)かけがわ地域クラブの創設に向け、部活動の受け皿となる全てのクラブにおいて、実際に指導者、子どもたちが地域クラブを体験できるプレ活動の実施や、先行して活動しているサッカークラブ、料理クラブなどの大会出場、施設利用などを検証し、クラブ運営に関する課題解決に向けた取組を進めます。
 更に、学校施設の活用を図るため、西中、東中、北中の特別教室へエアコン設備の設置を行い、地域クラブへ参加する生徒や指導者の健康面に配慮した場となるとともに、室温管理ができることで多人数での利用を可能とし、安心で充実した活動を行える環境を整えます。

(3)ゆとりを感じながら安心して子育てできる環境の充実

 3番目の柱は、「ゆとりを感じながら安心して子育てできる環境の充実」です。
 すべてのこども・若者が身体的・精神的・社会的に幸福な生活を送ることができる社会を目指した「掛川市こども計画」に基づき、こども施策を統一的に、確実に推進します。

こどもの居場所確保・充実事業:学習支援や安心して過ごすことのできる環境

 1点目は、こどもの居場所の充実についてです。
こどもが安全・安心に身近な地域で過ごすことができる「居場所」づくりを推進していくために、こども食堂運営団体や地域の居場所運営団体、関係機関等と連携・協働してすすめていくほか、学齢期の放課後の居場所として新たに学習スペースを確保するなど、安心できる居場所の充実を図ります。
 また、主に、学習や生活に課題を抱える海外ルーツの子ども達を対象に、学習・生活支援ができる安全・安心な居場所を整備するため、公益財団法人B&G財団と協働の取組みとして、大東支所の旧議場を改修し、こどもの自己肯定感や将来の自立に向けて生き抜く力を育む「子どもの第三の居場所」として令和8年4月の開所を目指します。

こども家庭センターを集約、ワンストップ相談窓口を設置

 2点目は、こども家庭センターの集約、ワンストップ相談窓口の設置についてです。
 現在分離型のこども家庭センターを一体化するとともに、「のびる~む」と「ことばの教室」の発達相談支援機能も集約し、妊産婦、こども、子育て当事者を切れ目なく、多職種連携により対応する、市民にわかりやすく相談しやすい窓口とします。

22世紀の丘公園「たまりーな」に大型室内遊び場「みろっこmirocco」

 3点目は、22世紀の丘公園「たまりーな」の大型室内遊び場「みろっこmirocco」についてです。
 子育て世代からの、屋外だけではなく、屋内での休憩・遊び場を希望する声に答え、気候・天候に左右されずに児童が遊べるアクティブゾーンと、世代間交流の場として工作体験や幼児も遊べるクリエイティブゾーン、大人もくつろげるひとやすみラウンジなどからなる大型室内あそび場「みろっこ」を整備しています。市民の方々が利用しやすく、やすらぎなどをあたえられる施設として、本年7月のオープンを予定しています。

(4)こどもから高齢者まで安心して暮らせる都市基盤の整備

 4番目の柱は、「こどもから高齢者まで安心して暮らせる都市基盤の整備」です。

公共交通対策:AIオンデマンド交通などの実証実験、令和8年の実装を目指す

 1点目は、公共交通についてです。
 市民や交通事業者等で構成する共創プラットフォームでの、掛川市にとって「AIオンデマンド交通」の導入が望ましいとの結論を受け、令和7年度に実証実験を桜木地区で実施し、利用者数や乗合率、収益性などを検証した上で、令和8年度から順次本格運行を目指して取り組んでいきます。

自助、共助及び公助の底上げと避難所の環境改善

 2点目は、災害対応力の強化についてです。
 自助、共助及び公助全ての能力を南海トラフ等の大災害に対応できるようにするため、令和7年度を初年度とする掛川市防災訓練3カ年計画に基づき段階的に訓練を行い、最終年度終了時に必要な能力が得られるよう訓練に取り組んでいきます。また、災害関連死ゼロを目指して、避難所の衛生面や暑さ対策等の生活環境のさらなる充実に向けた環境改善として、民間企業と協働したトイレカー導入等に取り組むとともに、情報伝達に必要不可欠な同報無線設備の更新を継続して進めていきます。

市民の安全・安心につながる防災、減災対策整備

 3点目は、防災・減災対策についてです。
 海岸防災林強化事業「掛川潮騒の杜」については、令和6年度末の進捗率が目標を上回る約85%となっており、引き続き国、県及び民間の土砂や災害土砂を盛土材として積極的に活用し、掛川市施工分の令和8年度完成を目指し取り組んでいきます。
 災害に強い社会基盤の整備については、「掛川治水プラン」に基づいて排水路の整備や河道掘削などを実施するとともに、流域全体で水害を軽減させる治水対策を推進します。
 大坂コミュニティ公園の再整備については、地域の皆さまと幅広い世代の交流・賑わい創出とともに、防災機能を併せ持つ整備構想を取りまとめ、令和9年度の完了を目指します。

市民の命を救う救急体制

 4点目は、救急要請等の対策についてです。
 昨年の救急出動は、過去最多となる4,799件で、今後も高齢化が進み救急件数の増加が見込まれます。日中の救急出動などを補うため「日勤救急隊」(仮称)の運用を検討していきます。
 また、静岡県が昨年10月に開設された救急電話相談窓口(#7119)は令和7年4月より開設時間を24時間に拡充されるため相談窓口の認知向上に向けた広報に取り組んでいきます。

(5)環境の持続可能性に向けた資源エネルギーの循環利用促進

 5番目の柱は「環境の持続可能性に向けた資源エネルギーの循環利用促進」です

ごみ減量・資源化促進:使用済み紙おむつや製品プラスチックの資源化に向けた取組を次のステージへステップアップ

 1点目は、ごみ減量・資源化促進についてです。
 資源となるごみを燃やさない仕組みを構築するため、令和6年度に実施した「使用済み紙おむつ」や「製品プラスチック」の資源化実証実験の検証結果を踏まえた取組を進めていきます。また、商業施設へのリユース品回収ボックスの設置や生ごみ処理機の活用促進など、市民や事業者の意識や価値観の更なる変革と行動変容につながる取組を進めることで、ごみ減量と資源化促進を図ります。

令和12年度の新廃棄物処理施設稼働に向けた準備

 3点目は、カーボンニュートラル実現に向けた取組についてです。
 地球温暖化対策では、もったいないを合言葉とした施策や情報発信により、市民や事業者の取組を促すとともに、中小企業の省エネ設備の導入を支援します。また、地域と共生した再エネ発電事業を促進するとともに、学校給食センターへの太陽光パネルの設置による地産エネルギーの活用を図ります。

(6)DXによる付加価値の高い市民サービスの実現

 6番目の柱は「DXによる付加価値の高い市民サービスの実現」です。

AI等を活用した業務効率化(全職員の業務効率、水道管耐震化事業の支援など)、オンライン申請など行政手続きの簡略化

 1点目は、AI等を活用した業務効率化や付加価値の高い市民サービスの実現に向けた取り組みについてです。
 人口減少の影響は、職員の確保にも大きく影響し、たとえ職員が減っても市民サービスを維持向上させるため、デジタルの力、特に生成AIを積極的に活用していきます。本年度、先ずは行政内部に蓄積されている様々なデータを活用した市独自の生成AIをスタートさせました。今後は、さらに活用の幅を広げ、全職員による徹底した利用とともに業務効率化、政策立案、付加価値の高い市民サービスの創出を推進しいきます。
 水道管路耐震化事業の効率化についても、AIを活用した劣化診断等による水道管路の耐震化・更新計画を策定し、耐震化事業の効率化及び加速化と事業費の平準化を図ります。
 行政手続きについては、市民目線でオンライン申請を更に拡充し利用者の増加を図ることで、市民・職員にとってオンライン申請が当たり前の「手のひら市役所」を目指します。また、電子契約システムによる契約書の電子化や、手続きに迷わないようサポートする手続きナビゲーションを導入し、市民の負担軽減と利便性向上を図ります。

データ分析やマーケティング手法を活用した政策立案による地域課題解決

 2点目は、データ分析やマーケティング手法を活用した政策立案による地域課題解決についてです。
市民や地域が抱える具体的な課題の把握と施策への反映に向けて、人口動態、人流、産業、経済など統計データを分析し、特定の課題を浮き彫りにした後、これらのデータから優先的に対処すべき事項を明確にし、より有効性の高い施策への転換を図ります。
 また、これらの分析結果から、ふるさと納税については、寄附者のニーズに合った新規返礼品の開拓や、人流データを基に観光客をターゲットとした現地決済型ふるさと納税を推進し、産業振興及び地域経済の活性化につなげていきます。
 健康づくり分野においても、掛川市オリジナル健康アプリ「きんトレ」を活用した健康づくり支援のほか、歩行姿勢測定器を活用した歩行状態の確認、デジタル技術を活用した保健指導などの健康づくり事業を引き続き進めます。また、健診結果など市民の健康や生活に係るデータの分析により健康寿命の延伸につながる効果的な健康増進・予防事業を推進します。

4おわりに

 結びとなりますが、今日の掛川市は、特に急速なこどもの出生数の減少を伴う人口減少や高齢化、また、これに伴う働き手、地域の担い手不足ばかりでなく、文化、伝統、産業の継承や存続など、確実に市民生活に影響が出てきています。さらには、今後、数年間は厳しい財政状況が続き、歳出の引き締めや歳入の増加施策を堅実に実行する必要があります。このような状況だからこそ、将来に向かってビジョンを描き、未来への投資を行う必要があります。市制20周年事業の実施と合わせ、持続可能で明るい将来に向かって、計画を作り上げます。
 これからも、市民の皆様と共に力を合わせ、掛川市の未来を切り拓いていく所存です。

 以上、新年度の予算等についてご審議いただくこの議会の冒頭に、改めて、令和7年度の市政運営に対する私の思いを述べさせていただきました。着実な事業実施に向け、議員各位のご理解とご協力を重ねてお願い申し上げまして、結びとさせていただきます。

 令和7年2月19日

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