掛川市都市建設部付参事兼事業調整室長 松永努
17歳の春
昭和56年3月のある休日、市民待望の国道1号掛川バイパスはほぼ完成し、近日中に開通式を迎えようとしていました。高校での部活を終えて自転車で帰宅途中だった私たち同級生3人は、できたての八坂インターを見て興奮を抑えきれず、入口のバリケードの隙間をすり抜けて本線に進入しました。
暖かな春、人も車も無い、広くて平らでまっすぐに続く綺麗な道路をママチャリで滑走し、本当に気持ちよかったことを覚えています。ただ、至福の時間はそう長くは続かないもので、あえなくパトロールに回ってきた道路公団の職員に見つかり御用となりました。
掛川バイパスと初めて出会った、17歳の春の出来事です。
昭和56年3月 掛川バイパス開通式の様子
事件から37年
“掛川バイパス自転車走行事件”から37年の歳月が経ち、掛川バイパスはどう変わったでしょうか。ここで開通からの経緯を少しおさらいしておきたいと思います。
- 昭和56年3月 全線開通(暫定2車線)
- 平成11年4月 夜間(午後10時から翌日午前6時)無料化開始
- 平成16年2月 日坂バイパス全線開通(暫定2車線)
- 平成17年3月 日本道路公団から国土交通省が買い取り終日無料化を開始
平成17年に新たに日坂バイパスが完成し、その後、藤枝バイパス、磐田バイパス、浜名バイパスと共に全線無料化されたことで、静岡方面に行くにも浜松方面に行くにも、私たちの生活は更に便利になりました。でも一点だけ気になるところがあります。それは、未だ“暫定2車線”の文字が消えないことです。
慢性的な渋滞と事故の多発
現在、磐田バイパスの4車線化、袋井バイパス高架部の4車線化と平面交差部の6車線化が完了していることを皆さんもお気づきのことと思います。これにより、今まで、新天竜川橋や磐田市見付付近、袋井市国本付近で慢性的に発生していた渋滞が解消され、浜松方面への行き来が随分スムーズになりました。
袋井市側から6車線の広い道路を気持ちよく飛ばしてきた車は、掛川市沢田インターチェンジから突然2車線に狭くなることで、速度低下と詰まりを起こして渋滞が始まります。さらに、大池インターチェンジ付近から西郷インターチェンジ付近では上下線とも上り勾配があるため、ドライバーは無意識に速度低下し、後続車へ連鎖して渋滞が広がります。
また、4車線(片側2車線)以上の道路には中央分離帯がありますが、2車線(片側1車線)道路にはありません。これにより2車線道路では対面通行の事故が起こりやすく、スピードを出しがちな道路ゆえに、ひとたび起これば大事故になりかねません。
掛川バイパスと日坂バイパスは、とても交通量が多いにも関わらず暫定2車線のままのため、慢性的な渋滞が続き、交通事故が多発しているのが現状です。
沢田インターチェンジ付近の渋滞状況
4車線化が完了した磐田バイパス
“掛川・日坂バイパス広げ隊(仮称)”の取り組み
“掛川・日坂バイパス広げ隊”は、今回、私が勝手につけた名称であり、実際には以下の組織により、掛川市都市建設部事業調整室が事務局となって掛川・日坂バイパスの4車線化を目指して取り組んでいます。
- 島田磐田間バイパス建設促進期成同盟会(昭和40年発足)
磐田市、袋井市、掛川市、島田市の4市で構成し、毎年、国土交通省と財務省に要望活動を行っています。 - 掛川・日坂バイパス4車線化要望団体(仮)(平成30年2月開始)
掛川市単独で、市長、市議会、自治会、経済界等が主体となって国土交通省に要望していきます。時にはピンポイントで国土交通大臣への要望(面会)を目指します。
これまでは4市期成同盟会による国への要望活動だけでした。でも、磐田、袋井バイパスの4車線化が完了し、島田金谷バイパスも大井川橋で4車線化工事が進められている中、これからは掛川市単独でも頻繁に、そして多方面から要望活動を展開しながら4車線化の実現を目指していきます。
市議会代表と自治会代表から
牧野国土交通副大臣へ要望書提出
4市期成同盟会から
牧野国土交通副大臣へ要望書提出
でも待って、私たちにもできること
掛川・日坂バイパスの4車線化をこれまで以上に強く国に要望していくことに違いはありませんが、県内でも既に多くの大型道路事業(注)が進められている中、仮に事業化されたとしても短期間に進むことではありません。
掛川・日坂バイパスの渋滞を少しでも減らすために、私たち一人一人にできることがありますので、皆さんも実践してみませんか。
以下、地域で回覧していただいた「国土交通省からのお願い」を紹介します。
注:中部横断自動車道、伊豆縦貫自動車道、三遠南信自動車道、国道一号静清バイパス高架化、国道一号島田金谷バイパス4車線化等々・・・
掛川バイパスの渋滞緩和に3つのお願い
大池インターチェンジ・西郷インターチェンジ付近では通勤時間帯に渋滞が発生しています!
少しでも渋滞を緩和するために・・・・・・
【お願い1】上り坂での速度低下に注意!
上り坂であることに気付かず、無意識に速度低下して渋滞が発生!
上り坂で速度低下を注意喚起している場所では速度回復にご協力を!!
上り坂と気づかず無意識に速度低下
「この先上り坂」の看板を見たら、上り坂では速やかに速度回復を
【お願い2】車間距離をつめ過ぎない!
インターチェンジ合流部では車間距離が短いことで、スムーズな合流ができずに渋滞が発生!
スムーズな合流のために、十分な車間距離の確保にご協力を!!
車間距離が短いと合流する度に頻繁なブレーキ、渋滞発生
車間距離は十分確保されれば、スムーズな合流で無駄なブレーキが不要、渋滞緩和
【お願い3】いつもより少し早めに出発してみませんか?
午前7時前であれば、いつもより半分の所要時間で走行することが可能!
早めに出発して、渋滞によるストレスを少しでも減らしませんか!!
「沢田インターチェンジから千第インターチェンジ」の所時間(静岡方面への走行)
- 午前6時45分では7分
- 午前7時では8分
- 午前7時15分では11分
- 午前7時30分では13分
午前6時45分と午前7時30分では時間が約半分になります。
「千科インターチェンジから大池インターチェンジ」の所要時間(浜松方面への走行)
- 午前6時45分では10分
- 午前7時では13分
- 午前7時15分では16分
- 午前7時30分では19分
午前6時45分と午前7時30分では時間が約半分になります。
みなさまのちょっとした心掛けが渋滞規和に繋がります。
ご協力をお願いします。