令和8年度施政方針
令和8年度の当初予算案並びに関連議案の審議をお願いするにあたり、施政方針を述べさせていただきます。
1 はじめに
はじめに、今年度掛川市は市制20周年を迎え、11月に開催した記念式典などさまざまな記念事業を展開し、市民の皆様とこれまでのあゆみを振り返るとともに、つぎの10年に向かって一歩を踏み出す1年となったと実感しております。
私自身も、4月に二期目の市政運営がスタートし、未来に向けて誰もが何度でもチャレンジできるまちの実現に向け、これまで以上に市民の皆様との「対話」を重ねることで多くの声を市政運営に反映させ、年齢、性別、国籍が異なる、多種多様な全ての人が、一度ではなく何度でもチャレンジできる環境の整備や支援を進めていくと強く決意した次第です。
しかしながら、掛川市は人口減少や高齢化、そして地域の担い手不足や伝統・文化・産業の継承といった大きな課題に直面しています。また、時代は日々急速に変化しており、多様な価値観や暮らしが広がり、デジタル技術が日々進化していきます。まさに今、掛川市は、大きな時代の転換点をむかえているのです。
この時代の変化を、未来を拓く可能性に変えるため、ここまで「第3次総合計画」を策定してまいりました。
この計画は、市民の皆様とのワークショップで生まれた、かけがえのないアイデアや熱い想いをもとに未来に向けた掛川の理想像を将来ビジョンとしてまとめ、このビジョンの実現に向けて、新しいチャレンジと変革を生む源になる「DEI」、つまり、多様性、公平性、受容・包摂を根底に据えながら、デジタル技術とデータを最大限に活用し、私たちの暮らしや社会をよりよく変革していく取り組みである「DX」、市民・団体・企業など様々なステークホルダーの力を集結して、お互いの強みを活かして、新たな価値を生み出す「共創」の3つを基本理念とした計画としています。
令和8年度は、第3次総合計画のスタートとなる重要な年度で、「共創元年」と位置付けます。これまでどおりの考え方に縛られることなく、自らが主体的に行動するという市民性や、「報徳の精神」や「生涯学習」によって培われた高い市民力を活かし、市民の皆様と共に持続可能で、進化し続けるまちづくりを進めてまいります。
(1)経営戦略方針の基本的な考え方
次に、令和8年度の経営戦略の方針について申し上げます。
掛川市の人口は、平成17年の合併時をピークに減少を続け、数年前1,000人を維持してきた出生数も、令和6年度は700人を割り込む結果となりました。少子・高齢化による人口減少は喫緊の課題ですが、人口減少率で見た時、減少率の低さは県内35市町の中で上から2番目に位置しています。これは、出生数の減少による自然動態のマイナスを、転入者超過による社会動態のプラスでカバーしていることが要因です。
これまで進めてきた認定こども園の整備や医療費の無償化といった子育て施策、工業団地の整備、企業誘致による働く場所の確保、空き家を活用した移住・定住促進などの成果といえます。
また、これらの施策により市税収入は確実に増加しているものの、昨今の社会保障費の増加のほか、人件費や物価の高騰、さらに資材・建設費・エネルギー価格の上昇や金利上昇による利払い負担の増加が財政運営に大きな影響を与えています。加えて、新廃棄物処理施設の整備や学校再編といった大型事業を控え、今後数年間は厳しい財政状況を強いられることが予想されます。
そのような状況の中で、令和8年度は、掛川市の新たな将来像の実現に向けて、第3次総合計画が始動する極めて重要な年度です。市民、各種団体、企業など多様な主体の皆様とともに、新たな一歩を踏み出します。そして、「共創元年」と位置付けた令和8年度は、テクノロジーを効果的に活用しながら、ちがいをチカラに変え、新しい価値を創り出すことで、だれもが自分らしく暮らせる未来共創都市の実現を目指します。行政運営においても、新たな将来ビジョンの実現に向け、戦略的な視点で施策を実行してまいります。
令和8年度は、この後ご説明いたします5つの経営戦略の方針に沿って、未来を切り拓くスタートの年となるよう、全力で取り組んでまいります。
2 自治体経営の基本事項
5つの経営戦略の説明の前に、自治体経営における基本事項について申し上げます。
(1)組織機構
はじめに、組織機構についてです。
令和7年度に大規模な組織改正を実施したことから、令和8年度は重要施策の実施に向けた体制や組織改正後に明らかになった課題点を調整するための組織編成を行います。
今回の組織改正では、「協働」から「共創」へさらなる進化を目指すため、「協働推進課」を「未来共創課」へ名称変更します。
「交通政策係」は、AIオンデマンド交通の実証実験結果を踏まえ、都市建設部都市政策課へ移管し、交通事業者と共創する都市インフラ事業として推進します。
また、「地域振興係」は、地域組織等との連携強化のため未来共創課に移管し、「中山間・海岸線振興係」に名称変更します。さらに、「建築営繕係」はくらしデザイン課へ移管し、空き家施策と建築指導等を一体化。消防本部では、係の再編や日勤救急隊の設置により効率的な運営体制を構築します。
これらの組織改正を通じて、重要施策の着実な推進と、より柔軟で効果的な行政運営を目指してまいります。
(2)当初予算
続いて、当初予算についてです。
令和8年度は“だれもが自分らしく暮らせる「未来共創都市」実現予算”とし、掛川市の新たな将来像の実現に向けて、第3次総合計画を始動する予算編成としました。
重点事業として、AIオンデマンド交通運行事業に5,419万円、空き家対策、空き家活用事業に4,897万円、DEI推進事業に423万円、原野谷学園小中一貫校の実施設計事業に1億6,586万円を計上しました。
一般会計の予算規模としましては548億9,000万円で、前年度当初予算と比べ58億3,000万円、9.6%の減となりました。これは、過去最大の予算規模であった令和7年度に予算計上されていた、強い農業づくり交付金事業や海岸防災林強化事業などの大型事業が完了または減額になったことによるものですが、規模としては過去3番目の大きさです。
なお、特別会計と企業会計を合わせた予算総額は、903億118万円となりました。
非常に厳しい財政状況の中、限られた財源を最大限に活用し、市民サービスへの影響を最小限に抑えつつ、優先度の高い事業を厳選して予算配分を行いました。
あわせて、財政力の強化に向けて、新エコポリス第3期造成事業の着工による新たな工業団地の整備、空き家の活用による移住・定住の促進、データ分析に基づくふるさと納税の強化等に取り組み、持続可能な財政基盤の構築に努めてまいります。
3【重点施策】経営戦略の5つの方針
それでは、第3次総合計画で策定した将来ビジョンの実現のため、行政運営を進めるにあたっての5つの戦略方針と戦略ごとの重点施策について申し上げます。
(1)第3次総合計画スタート!「共創元年」に取り組む未来を切り拓く事業展開
1つ目の方針は、第3次総合計画が始動する「共創元年」に取り組む未来を切り拓く事業展開です。新たにまちづくりの基本理念とする「DEI」「DX」「共創」を体現するリーディング事業を展開してまいります。
① DEI政策推進事業
1点目は、DEIの推進です。
掛川市は、「DEI・DX・共創」を第3次総合計画の基本理念として掲げ、すべてのまちづくり施策の根幹に据えています。DEI(多様性、公平性、受容・包摂)については、年齢・性別・国籍・障がいの有無などに関わらず、すべての人がお互いのちがいを認め合い、だれもが安心して自分らしく暮らすことができるまちの実現を目指します。
これまでの「協働のまちづくり」から一歩進め、さまざまなちがいを力に変え、手を取り合い、お互いの強みを活かし合うことで、新たな価値を共に創り出す「共創のまち」へと進化させます。
変化の激しい時代の中で、まちも人も共に成長し、だれもが活躍できる社会の実現に向けて、DEIの理念をすべての施策に反映してまいります。
このような理念のもと、外出困難者社会参画推進事業では、障がいや病気、引きこもりなど様々な理由で外出が困難な方々が、分身ロボットなどの遠隔技術を活用し、自宅や施設から社会や人とつながり、企業の窓口やカフェ、地域イベントなどで働くことができる仕組みを構築します。
この取り組みにより、多様性を受容する文化を地域に根付かせ、誰もが自分らしくいられる場づくりを地域全体で目指します。また、分身ロボットなどのテクノロジーを活用し、外出が難しい方々も未来志向のリモート就労を実現し、働き方の多様性を広げます。
② DX(デジタル・トランスフォーメーション)の推進
2点目は、DXの推進についてです。
掛川市はこれまで、「だれ一人取り残されない、人にやさしいデジタル化」を掲げDXを推進してきました。令和8年度は、さらなるDXの推進に取り組むことで「だれもが自分らしく暮らせるまち」の実現を目指してまいります。
「女性活躍推進事業」では、官民連携のリスキリング研修を通じて女性のITスキル習得を後押しし、市内在住女性の就労機会拡大、多様な働き方の実現、経済的自立と所得向上を促進して地域企業での雇用につなげ、女性一人ひとりが自分らしく活躍できる環境を整備します。
次に、庁内DXの推進では、定型的・反復的な事務作業を自動化させるRPAの利活用をさらに加速させるほか、DXリーダーを中心に全庁へ活用事例を展開することで、職員が市民への直接サービスや地域の実情を踏まえた企画立案といった高付加価値業務に専念できる体制を構築します。
市役所窓口では「手のひら市役所」のさらなる進化を目指し、生成AIを活用した24時間対応の窓口サービスの実証実験を行い、いつでもどこからでも利用できる利便性とサービス品質の向上を図ります。
加えて、今年度より導入した人流データについては、大型イベント時の人流分析結果を活用し、来訪者の回遊促進に向けた具体的な施策を展開するなど、活用が進んできております。このような知見を他分野にも横展開し、人流データを含めた多様なデータの分析結果を関係者と共有しながら、データに基づく施策立案と効果検証を進め、効果的かつ効率的な施策運営を強化してまいります。
これらの取組により、人々の想いや共創によって生まれた新たな価値を、未来をひらく確かな推進力へと変えていきます。
③ 共創によるまちづくりの推進
3点目は、「共創によるまちづくり」の推進についてです。
「共創元年」の年に、市民、企業、行政、学校、NPOなど多様な主体の皆さんと連携し、持続可能で創造的な地域社会を目指すためのリーディング事業を展開してまいります。
「かけがわ共創シンポジウム開催事業」では、「かけがわ未来共創サミット」を開催し、基調講演やパネルディスカッション、企業・団体の活動展示を通じて、共創の実践事例を共有し、具体的なアクションプランやネットワークを形成します。また、本取り組みを広く発信し、掛川市のブランド価値向上や新たな投資・人材の流入を促進します。
AIオンデマンド交通事業については、桜木地区で実施した実証実験の結果をもとに、課題を整理したうえで、今年度中の実装を目指します。
さらに、交通事業者やまちづくり協議会によって構成される「掛川市交通DX実用化共創プラットフォーム」において実験結果を検証し、AIオンデマンド交通の導入が望ましいと結論づけられたエリアへの拡大についても取り組んでまいります。
「共創によるまちづくり」を力強く推進し、世代や文化を超えた関わり合いを通じて、だれもが心ゆたかに暮らせる未来を築きます。
(2)投資効果が高い分野への積極的な投資
経営戦略の2つ目の方針は、「投資効果が高い分野への積極的な投資」です。
投資効果が見込まれる分野に先行投資することで税収の増加や、テクノロジーの発展による暮らしの変革を誘導します。
また、選ばれるまちへのブランディングとプロモーションの強化も実施してまいります。
① 空き家対策事業
1点目は、空き家の活用と掛川市への移住促進についてです。
空き家の放置を未然に防ぎ、資産としての活用を進めるため、実態調査に基づいた流通促進や、空き家を活用した地域活性化事例を増やしてまいります。住宅価格が高騰しているため、空き家取得の補助金は、補助件数を増やし、市民や移住者の住宅取得を支援していきます。
さらに、移住希望者と空き家所有者をつなぐことで、地域活性化と空き家問題の同時解決を目指します。移住フェアへの積極的な出展や、移住コーディネーターと連携した移住体験ツアー・移住者交流会の開催などにより、掛川への移住定住を力強く推進してまいります。
② 有機農業産地づくり推進と掛川茶の高付加価値化促進
2点目は、有機農業産地づくり推進と掛川茶の高付加価値化促進についてです。
消費者の健康志向や環境への配慮が高まる中、有機農産物へのニーズは年々拡大しています。一方で、国内の生産量や認知度はまだ十分とは言えません。このような状況を踏まえ、「オーガニックビレッジ宣言」や「有機農業実施計画」に基づき、生産体制の強化、人材育成、技術普及や消費者への啓発活動により販路拡大を推進してまいります。
また、海外では、有機茶や有機抹茶の需要が急速に伸びています。深蒸し茶産地としての高い技術を守りつつ、国や県と連携しながら有機栽培や碾茶に適した品種への改植支援、有機栽培茶への転換支援などを通じて、高付加価値茶の生産体制の強化を図ります。
今後も、行政・生産者・消費者が一体となって環境にやさしい有機栽培を推進することで、掛川茶をはじめとする農産物の競争力を高め、農業者の所得向上と持続可能な農業・社会の発展を目指してまいります。
③ 企業立地促進事業費補助金
3点目は、企業立地促進の施策についてです。
掛川市は、地域経済の活性化と良質な雇用の創出を実現するため、企業誘致と既存企業の事業継続支援を重点施策として位置付けており、厳しい財政状況下にあっても、設備投資の負担を軽減する「企業立地促進補助金」の交付や、新たな産業用地の創出を推進して「企業に選ばれる自治体」を目指します。
そして、市民の皆様が「だれもが自分らしく暮らせるまち」を実感でき、持続可能な力強い経済基盤を築き上げてまいります。
④ 南西郷地区まちづくり推進事業
4点目は、南西郷地区まちづくり推進事業についてです。
南西郷地区の土地利用については、市民だけでなく国内外から多くの来訪者の活発な交流を促すため、掛川市の魅力が詰まった「ここにしかない」をテーマに、他所にはないサービスや商業の集積を図ることで、掛川市の持続可能な発展の契機となるよう、地域の皆さまと共に検討を重ね、着実に事業を推進していきます。
⑤ サンサンファーム復活に向けた事業
5点目は、地域拠点の再生と産業振興についてです。
(仮称)サンサンファームの復活に向け、直売所機能だけでなく、特産品や加工品、体験型コンテンツなど多様な収益構造を構築し、地域の伝統技術継承や福祉連携、広域事業展開も推進してまいります。
具体的には、生産者や商工会など複数法人による連携体制を整え、ブランド力やシンボル商品の認知度向上、ご当地グルメや体験事業の充実を図ります。また、住民や観光客が憩える食堂・カフェの運営も行いたいと考えています。
施設のリニューアルや中間支援、広域連携を進め、地域経済への波及効果、農家所得の向上、雇用創出などを目指し、地域の魅力と活力を次世代へつなげてまいります。
(3)ゼロウェイスト、循環型社会への動機づけ
続いて、3つ目の戦略方針は、「ゼロウェイスト、循環型社会への動機づけ」です。
焼却や埋め立てに頼らない暮らしと、循環経済の実現に向けた市民や企業の行動変容をさらに加速させてまいります。
① 製品プラスチック・リサイクル事業
1点目は、製品プラスチック・リサイクル事業についてです。
2050年のカーボンニュートラル社会の実現を見据え、焼却や埋立に依存しない持続可能なごみ処理体制の構築を目指し、令和7年度に環境省と連携して回収・資源化の実証事業を実施しました。
この結果を踏まえ、製品プラスチックの集積所回収を本格的に導入します。これにより、集積所での容器包装プラスチックと製品プラスチックの一括回収を実現し、さらなるごみ減量と資源化促進を図り、循環型社会への転換に向けた取り組みを推進してまいります。
② 新廃棄物処理施設の整備事業着手
2点目は、新廃棄物処理施設の整備についてです。
新廃棄物処理施設の設計・施工を行う事業者が決まり、令和8年度には実施設計を進め、その後、建設工事に移行する予定です。
令和12年4月の供用開始に向けて、掛川市・菊川市衛生施設組合と緊密に連携し、施設整備を着実に進めてまいります。
持続可能な廃棄物処理体制の確立に向け、安全・安心で安定的な施設の整備に取り組んでまいります。
(4)市民の安全・安心、セーフティネット、教育の充実
4つ目の経営戦略方針は、「市民の安全・安心、セーフティネット、教育の充実」です。
だれもが、当事者になり得る前提でお互いに支え合うインクルーシブ社会の推進や高まる自然災害への脅威、地震津波災害への備えを強化してまいります。
① 防災・減災対策及び災害対応力の強化
1点目は、防災・減災対策及び災害対応力の強化についてです。
海岸防災林強化事業「掛川潮騒の杜」については、令和7年度末の進捗率は約95%となっており、引き続き国、県及び民間の事業残土を盛土材として積極的に活用し、掛川市施工分の令和8年度完成を目指し取り組んでいきます。
災害に強い社会基盤の整備については、「掛川治水プラン」に基づいて排水路の整備などを実施するとともに、流域全体で水害を軽減させる治水対策を推進します。
大坂コミュニティ公園の再整備については、地域の皆さまと幅広い世代の交流・賑わい創出とともに、防災機能を併せ持つ整備構想を取りまとめ、令和9年度の完了を目指します。
また、災害関連死ゼロを目指して、避難所の衛生面や暑さ対策等の生活環境のさらなる充実に向け、広域避難所への気化熱式大型冷風機の追加設置、スフィア基準を目指した自動ラップ式トイレの追加導入、民間企業と協働したトイレカー導入等に取り組むとともに、情報伝達に必要不可欠な同報無線設備の更新を継続して進めていきます。
加えて、自助、共助及び公助全ての能力を南海トラフ等の大災害に対応できるようにするため、令和8年度を2年目とする「掛川市防災訓練3カ年計画」に基づき、段階的に訓練を実施し、必要な能力が得られるよう訓練に取り組んでいきます。
② こどもの貧困対策事業
2点目は、こどもの貧困対策事業についてです。
こどもを取り巻く家庭の抱える課題が多様化・複雑化している中、こどもの貧困対策の一環として、子どもの未来応援コーディネーターを配置しております。
複雑な変化に的確に対応するため、コーディネーターを中心に相談対応や関係機関と連携し、課題の早期発見・早期対応と支援機関への周知啓発を推進してまいります。
また、経済的な困難など、家庭に問題を抱えるこどもが、毎日安心して食事ができる居場所を市内に創出するため、一般社団法人ロングスプーン協会が推進する「フードリボンプロジェクト」に参加することにより、「こども食堂」の新しい取り組みを始めます。
地域と共に、こどもに食と笑顔を届けるしくみづくりから機運の醸成につなげていきます。
③ 乳児等通園支援事業(こども誰でも通園制度)
3点目は、乳児等通園支援事業についてです。
全てのこどもの育ちを応援し、こどもの良質な成育環境を整備するとともに、全ての子育て家庭に対して、多様な働き方やライフスタイルにかかわらない形での支援を強化するため、令和8年度から「こども誰でも通園制度」がスタートします。掛川市においても、市内乳幼児教育施設と連携して本制度の円滑な実施を推進してまいります。
④ 原野谷学園小中一貫校整備事業・城東学園小中一貫校整備事業
4点目は、原野谷学園、城東学園小中一貫校整備事業についてです。
原野谷学園小中一貫校の特色ある学校づくりに向けて、原谷小学校及び原野谷中学校では、令和6年度から3年間の市指定研究として、「イエナプラン教育の理念を生かした魅力ある学校づくり」を進めています。原野谷学園の小中学校では、その理念を生かして、子供たちの実態に合った取組を目指し、子供たちが目標に向かって自分で学び方や進め方を考えながら学んだり、協働的に学びを進めたりしながら自律と共生の力を育めるよう、教育課程全体で研究を進めています。
令和8年度は、いよいよ3年目となり、引き続き積極的に研究を推進するとともに、その成果等を地域の皆様にもご理解いただくため、10月下旬に研究発表会を開催する予定でいます。この研究を、子供たちの未来に向けた教育の実現に繋げていきます。
この特色ある教育を実践するための新たな学校施設の整備に向けて、原野谷学園では建物の実施設計を、城東学園では基本設計と敷地の造成設計を進めます。
⑤ 健康づくりアプリ活用事業
5点目は、健康づくりアプリ活用事業についてです。
健康づくりアプリ活用事業については、掛川市オリジナルの健康アプリ「きんトレアプリ」を市内開催の各種イベント等で広く市民に周知を図り登録を促すとともに、アプリのお知らせ機能を活用してスポーツイベントや健診、健康に関する情報を届けることで、市民が自発的に健康づくりを実践できるよう支援してまいります。
⑥ 障がい者やその家族が安心して暮らせる環境づくりの推進
6点目は、障がい者やその家族が安心して暮らせる環境づくりの推進についてです。
重度障がい者やそのご家族が地域で安心して暮らせる環境づくりを推進するため、生活介護施設の建設費補助を実施し、長年課題となっていた生活介護サービスの不足を解消します。また、障害児福祉サービスの利用に必要な支援計画の作成を担う相談支援事業者の不足を改善するため、社会福祉協議会への助成を行い、障害児相談体制の拡充と保護者によるセルフプランの負担軽減を図ります。
⑦ 第10期介護保険事業計画・高齢者福祉計画の策定の検討
7点目は、第10期介護保険事業計画・高齢者福祉計画の策定についてです。
「できる限り介護が必要とならない健康な暮らしの実現」を目指すとともに、介護が必要になった場合にも、利用者・支援者双方にとって健康で生き生きとした生活を送ることができるよう各種施策を展開するため計画策定を進めてまいります。
(5)人的資本経営と財政構造改革の推進
5つ目の方針は、「人的資本経営と財政構造改革の推進」です。
人材を公共価値の最大化を生み出す資本と捉え、人事制度改革と施策の確実な実行を支える強固な財政基盤の確立を目指します。
① タレントマネジメントシステム導入事業
1点目は、タレントマネジメントシステム導入事業についてです。
新たに導入するタレントマネジメントシステムの活用により、経営戦略・人事戦略に基づいた人材育成を強力に推進します。職員一人ひとりのスキルや適性、キャリア志向を可視化することで、個々の能力を最大限に発揮できる育成計画や研修を実施し、エンゲージメントの向上を目指します。
また、組織全体の人材情報を一元管理することで、適時・適所・適材の人材配置や将来のリーダー候補の発掘が容易となり、組織力の強化と持続的成長に寄与します。これにより、変化の激しい環境にも柔軟かつ迅速に対応できる体制を構築してまいります。
② 行財政改革審議会運営費
2点目は、行財政審議会の開催についてです。
新たなビジョンのもと、テクノロジーや限られた予算を最大限に活用し、さまざまなちがいを力に変えて新しい価値を生み出すことで、誰もが自分らしく暮らせる未来共創都市を目指します。その実現に向け、行財政改革審議会を開催し、財政健全化に向けた改革プランや進捗状況について専門的な助言を受けることを検討しています。歳入の確保と歳出の効率化を徹底し、事業の選択と集中を進めることで、財政運営の透明性を高め、市民の皆さまの理解と協力を得ながら取り組んでまいります。
③ 上下水道審議会発足
3点目は、持続可能な上下水道事業の実現に向けた上下水道経営審議会の発足についてです。
安全安心な上下水道の維持のため、今後10年間を見据えて策定したビジョンに示す、様々な取組みを進めます。
また、持続可能な上下水道事業運営を行うために上下水道経営審議会を立ち上げ、専門的、俯瞰的な御意見をいただきながら、経営のあり方や適正な上下水道料金について審議してまいります。
4 おわりに
結びとなりますが、現在、私たちを取り巻く社会は極めて複雑な状況にあります。
少子・高齢化による人口減少、国や地方自治体の厳しい財政状況、深刻な人手不足、重要性の高い働き方改革、カーボンニュートラルや多様な価値観など取り組むべき課題は日々変化しています。
私は、このような時代の中で未来に向かって進んでいくために、掛川市がこれまで取り組んできた生涯学習運動は大きな力となると確信しております。
掛川市の生涯学習運動は、市民一人ひとりが生涯学習を通じて、社会の動き、暮らし、経済、防災、健康長寿、地球環境などについて学び、そこで得た学びや、自らの得意分野を、自分たちの手でまちづくりに活かすという特色があります。
この生涯学習や、その根幹にある報徳思想が根付いている掛川市は、まだまだ多くの可能性を秘めています。市民一人ひとりの力を結集させ、様々な課題を乗りこえれば、だれもが自分らしく暮らし進化しつづける未来共創都市を必ず実現出来ます。次の10年に向かい、共に力を合わせ、明るい未来を創りあげてまいりましょう。
施政方針の最後に、本日からスタートします「かけがわ国際女性Month2026」について申し上げます。
掛川市では、3月8日の「国際女性デー」に合わせ、本日から3月25日までを「かけがわ国際女性Month 2026」と定め、ジェンダー平等の推進と、誰もが尊重され活躍できる社会の実現を目指し、市民、事業者、そして議会の皆さまとともに取り組みを進めてまいります。
つきましては、議員各位におかれましても、期間中は無理のない範囲で、テーマカラーである黄色を取り入れた服飾品の着用、市民の皆さまとの対話における国際女性デーの意義への言及、市内で開催される関連イベントや展示のご観覧などにご協力賜りますようお願い申し上げます。
この取り組みが年々広がりを見せておりますのは、議員各位の深いご理解とお力添えの賜物であり、市と議会が一体となって未来志向のまちづくりを進めている表れでもあります。「かけがわ国際女性Month 2026」を市全体で盛り上げるとともに、誰もが尊重され活躍できるまちづくりへのご協力をお願い申し上げます。
なお、期間中は、食堂との連携による黄色をテーマにしたメニューの提供、掛川城のライトアップ、図書館との連携企画など、多様な取り組みを展開いたします。これらを通じ、市全体で国際女性デーの理念を共有し、行動へとつなげる契機としてまいります。
以上、新年度の予算等についてご審議いただくこの議会の冒頭に、あらためて、令和8年度の行政運営に対する思いを述べさせていただきました。着実な事業実施に向け、議員各位のご理解とご協力を重ねてお願い申し上げまして、結びとさせていただきます。
令和8年2月19日


