'08掛川スタディ(市単独事業)

2011年11月17日更新

1 緑茶の生活習慣病予防効果に関する介入試験

それまで掛川市立総合病院「緑茶医療研究センター」で継続的に行われてきた緑茶研究の知見を活かして、掛川市が主体となり、緑茶の生活習慣病予防効果に関する介入試験が実施されることになりました。
この試験は、メタボリックシンドロームの予防・改善において掛川茶の有効性を立証し、市の基幹産業である茶業の元気再生につなげることを目的として開始されました。

研究概要

試験参加者が緑茶粉末の入ったカプセルを毎食後、12週間摂取することによって、生活習慣病予防効果を確認することを目的として実施した。科学的に効果を確かめるため、試験参加者を緑茶粉末摂取グループと緑茶成分の含まれない偽粉末摂取グループにそれぞれ半数ずつ分け、参加者全員に緑茶などのカテキンを含むものの摂取を制限した。試験食品の摂取前、中間(6週間後)、摂取終了時(12週間後)に身体測定、血液・尿検査(生活習慣病に関連する項)、食事調査、運動量調査等を行い、生活習慣病予防効果指標が両グループ間で統計学的に差があるかどうかで効果を確認した。

試験期間12週間(平成21年2月から5月)
試験参加者30歳から70歳の肥満指数23から35の者 65人
試験食品1日6g(30カプセル/日)
緑茶粉末:掛川産やぶきた茶
採血検査総コレステロール、LDLコレステロール、遊離脂肪酸、血糖、アディポネクチン、尿酸、TNF-α、HbA1c、血清アミロイドA、高感度CRP、血中カテキンなど42項目
尿検査8-OHdG、ヘキサノイルリジンなど8項目

試験結果

研究参加者全員を対象とした解析では、緑茶粉末グループと偽粉末グループに変化の差(体重でマイナス0.9キログラム、ウエストでマイナス0.6センチ、中性脂肪でマイナス0.06ミリグラム/デシリットルの低下)が確認されたが、統計的に意味のある差までは確認できませんでした。
しかし、普段緑茶を飲んでいない人に絞った解析では、平均体重が緑茶粉末グループで0.52キログラム減少し、偽粉末グループでは0.27キログラム増加した(表1)。このマイナス0.52キログラムと0.27キログラムは統計的に意味のあるものでした(p値は0.003 通常p値が0.05以下であると統計学的に有意であるとされます)。この結果は緑茶粉末の摂取が体重減少に有効である可能性を示唆しています。
しかしながら、普段緑茶を飲んでいない少数の人に絞った解析であることから、緑茶の効能はこの研究規模では完全に明らかになってはおらず、現在実施している『掛川スタディ』の研究成果が待たれます。

緑茶粉末グループと偽粉末グループの体重変化の差のグラフ。緑茶粉末はマイナス0.5キログラム、偽粉末はプラスで表示されている。
表1

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