'09掛川スタディ(農林水産省委託事業)

2011年11月17日更新

正式名称

緑茶のもつ生活習慣病改善効果の検証と効果的な摂取を可能にする新食品の開発

事業期間

平成21年6月から平成24年3月

掛川スタディとは

『’08掛川スタディ』研究で研究総括者として指揮をとった掛川市立総合病院副院長 鮫島庸一氏、ご協力いただいた東北大学教授 栗山進一氏、野菜茶業研究所研究チーム長 山本万里氏らが提案した研究『緑茶のもつ生活習慣病改善効果の検証と効果的な摂取を可能にする新食品の開発』が農林水産省所管の新たな農林水産政策を推進する実用開発事業に採択され、平成21年6月より三者が共同して、大規模な栄養疫学研究を開始しています。
この研究事業は”掛川市における研究”という意味で通称『掛川スタディ』と呼び、各研究者が担当する『緑茶コホート研究』、『緑茶介入試験』、『緑茶の形態による吸収への影響解析』、『カテキンレセプター発現量の解析』などの研究を実施します。

1 緑茶コホート研究

研究概要

30歳以上の掛川市民を対象として、アンケート調査や血液の検査などのベースライン調査を行います。平成23年度までに5千人から1万人の市民を対象に行う予定で、協力者には年1回程度、郵送により病歴に関するアンケート調査を行い、緑茶摂取等の生活習慣と病気との関わりについて長期的に検証します。

研究担当者

栗山進一教授の写真
栗山進一教授

栗山 進一(くりやま しんいち)
東北大学大学院 医学系研究科公衆衛生学分野 教授

昭和37(1962)年生まれ。医学博士。
平成5(1993)年、大阪市立大学医学部医学科卒業。大阪市立大学医学部附属病院第3内科医師、民間企業産業医を経て、平成15(2003)年4月東北大学大学院医学系研究科公衆衛生学分野助手。平成19(2007)年4月同准教授、平成22(2010)年8月東北大学大学院医学系研究科環境遺伝医学総合研究センター分子疫学分野教授、現在に至る。専門は疫学、公衆衛生学。

 

緑茶コホート研究への参加協力の流れ

  1. 研究協力への応募
    所定の申込用紙にご記入のうえ、保健予防課までお申し込みください。
  2. 調査票の送付
    検査日のお知らせとアンケート調査票などを郵送いたします。
  3. 調査票への記入
    ご自宅にてアンケート調査票(マークシート)にご記入していただきます。
    (所要時間 おおむね1時間から2時間)
  4. 身体測定、採血検査
    検査会場に来ていただき、説明会、調査票の確認、各検査を実施いたします。
  5. 検査結果(血液)の送付
    採血の検査結果を郵送いたします。(検査後、約1週間ほど)
  6. 検査結果(栄養調査)の送付
    食事調査の検査結果を郵送いたします。(検査後、約2カ月ほど)

注1 年1回、健康調査票を郵送いたしますので、ご記入のうえ返送していただきます。
注2 登録してから5年経った時点で、再び調査票の記入や採血検査等をお願いいたします。

2 緑茶介入試験

平成22年度研究概要

研究参加者150名(予定)に試験開始1カ月前より緑茶、紅茶、ウーロン茶などカテキンを含むものの摂取を制限してもらい、試験期間(12週間)の間、試験食品(お茶の新製品)を1日3回飲んでもらいます。試験の開始、中間、終了の3回、身体測定、血液・尿検査、食事調査、運動量調査、家庭での血圧測定などを行い、試験食品に生活習慣病予防効果があるかを調べます。

研究担当者

鮫島庸一副院長の写真
鮫島庸一副院長

鮫島 庸一(さめしま よういち)
掛川市立総合病院副院長

医学博士。名古屋大学医学部臨床教授。昭和50(1975)年3月名古屋大学医学部卒業。名古屋大学、米国ニュージャージ州立医科歯科大学、愛知医科大学、名古屋第一赤十字病院等を経て現職。日本消化器病学会指導医。平成19(2007)年度O-CHAパイオニア賞受賞。

 

緑茶介入試験への参加協力の流れ

  1. 研究協力への応募
    所定の申込用紙にご記入のうえ、保健予防課までお申し込みください。
  2. 事前検査及び書類審査
    試験説明会と事前検査を行い(事前検査の代わりに1年以内の健康診断結果の提出でも可)、試験に参加していただく方の選定をします。
  3. 合否通知
    事前検査の結果などにより試験参加者を選定させていただきます。
    選ばれた方については、試験開始4週間前より、緑茶などのカテキンを含むものの摂取を制限していただきます。
  4. 血圧・運動量測定
    開始検査の2週間前より、ご自宅にて血圧、運動量など測定していただきます。
  5. 開始検査
    検査会場に来場していただき、身体測定、採血検査、試験食品の配布などをいたします。この日より、試験食品を毎食後、飲んでいただきます。
  6. 中間検査
    検査会場に来場していただき、身体測定、採血検査などをいたします。
  7. 血圧・運動量測定
    終了検査の2週間前より、ご自宅にて血圧、運動量など測定していただきます。
  8. 終了検査
    検査会場に来場していただき、身体測定、採血検査などをいたします。
  9. 検査結果の送付
    開始検査、中間検査、終了検査の採血・尿検査の結果を郵送いたします。

平成21年度実施 緑茶介入試験概要

前回の試験(緑茶の生活習慣病予防効果に関する介入試験[市単独事業])と同様な方法で試験参加者に緑茶カプセルを毎食後、12週間摂取することによって、生活習慣病予防効果を確認することを目的として実施しました。試験参加者をやぶきた茶粉末、べにふうき茶粉末、偽粉末の3グループにそれぞれ同数に分け、参加者全員に緑茶などのカテキンを含むものの摂取を制限しました。試験食品の摂取前、中間(6週間後)、摂取終了後(12週間後)に身体測定、血液・尿検査、食事調査、運動量調査、家庭血圧測定等を行い、生活習慣病予防効果指標が各グループ間で統計学的に差があるかどうかで効果を確認しました。

試験期間12週間(平成21年9月から12月)
試験参加者30から70歳の者151人
試験食品緑茶エキス粉末(やぶきた茶、べにふうき)
1日2g(10カプセル/日)
採血検査LDLコレステロール、総コレステロール、遊離脂肪酸、血糖、尿酸、HbA1c、インスリン、アディポネクチン、血清アミロイドA、高感度CRP、血清鉄、フェリチン、酸化LDLなど
尿検査8OHdG、ヘキサノイルリジンなど

3 緑茶の形態による吸収への影響解析

研究概要

緑茶を煎れる温度、時間、緑茶の粒度、飲み方(一気飲み、ちび飲みなど)、同時に摂取する成分などの違いにより、緑茶に含まれるカテキン類の人への吸収にどのような影響を与えるかを研究します。

研究担当者

山本万里チーム長の写真
山本万里チーム長

山本(前田) 万里(やまもと まり)
農研機構 野菜茶業研究所 研究チーム長

東京都生まれ。農学博士。日本茶インストラクター。
昭和61(1986)年千葉大学大学院園芸学研究科修士課程修了。同年農林水産省中国農業試験場研究員、平成4(1992)年野菜・茶業試験場研究員、平成8(1996)年主任研究官、平成14(2002)年野菜茶業研究所研究室長、平成18(2006)年野菜茶業研究所野菜・茶機能性研究チーム長。
専門は食品機能学、動物細胞工学。

 

4 カテキンレセプター発現量の解析

研究概要

緑茶カテキン受容体としての67kDa laminin receptor(67LR)の発現量を解析する。
「緑茶コホート研究」ならびに「緑茶介入試験」において協力者の血液より以下の2つを測定する。

  1. 緑茶カテキン感受性遺伝子発現量
  2. Nrf2/Keep1発現量

この結果を用い、「緑茶コホート研究」ならびに「緑茶介入試験」における緑茶の効能検証を実施して、カテキンレセプター発現量別にみた緑茶摂取の影響を明らかにする。

研究担当者

立花宏文准教授の写真
立花宏文准教授

立花 宏文(たちばな ひろふみ)
九州大学大学院農学研究院生物機能科学部門食糧化学分野 准教授

昭和39(1964)年生まれ。博士(農学)。平成3(1991)年九州大学大学院農学研究科博士課程中途退学。同年九州大学大学院農学研究科助手、平成6(1994)年同講師、平成8(1996)年同農学部助教授、平成12(2000)年同大学院農学研究院食糧化学分野准教授。
平成10(1998)年日本農芸化学奨励賞、平成16(2004)年日本農学進歩賞、平成18(2006)年日本学術振興会賞。
専門は食品機能化学、フードケミカルバイオロジー。

 

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