掛川市自然環境の保全に関する条例
掛川市自然環境の保全に関する条例が、平成18年7月4日施行されました。
条例の背景
自然保護意識の高まりとともに、各地で開発における希少野生動植物への影響が問題視され、事業実施において、希少野生動植物などへの配慮が必要な状況となっています。
現在、掛川市希少動植物等保護要綱の運用により、希少野生動植物の生息・生育エリア内での開発について、円滑な事業実施および希少野生動植物の保護の観点から、出来うる範囲内での配慮をお願いしています。この要綱を条例化することにより、自然環境の保全についての市の姿勢を明確にし、市民・事業者の希少野生動植物の保護への意識をより高め、開発と希少野生動植物の保護の両立を図ります。
条例の目的
野生動植物の保護その他必要な事項を定めることにより、自然環境の適正な保全を総合的に推進すること等を目的としています。
条例の内容
1 希少野生動植物の保護
1.指定希少野生動植物種の指定(第6条関係)
掛川市に生息・生育する特に保護が必要な希少野生動植物を「指定希少野生動植種」として指定します。
2.指定希少野生動植物の捕獲等の禁止(第7条関係)
指定希少野生動植物種の捕獲等(捕獲、採取、殺傷又は損傷)は原則禁止されます。
3.保護地区の指定・保護地区内の行為の事前届出制(第8条から第11条関係)
指定希少野生動植物種の生息・生育が確認されている区域及びこれらと一体的にその保護を図る必要がある区域を保護地区として指定します。
保護地区内での開発行為を事前届出制とします(軽微なもの等を除く)。
市は、届け出られた行為について、影響緩和手法(注)を用いて必要な措置等を指導・助言します。
4.雑則(第21条関係)
捕獲等の禁止に違反した場合及び事前の届出・変更の届出をしなかった場合、又は虚偽の届出をした場合、氏名及び事実行為を公表することができます。
(注)影響緩和手法(ミティゲーション:Mitigation)
開発行為による環境への影響が予測される場合に、回避・低減・代償の3段階で影響を緩和する手法。
1970年頃に米国で生まれ、我が国の環境影響評価(環境アセスメント)制度においても、事業者が出来うる範囲内での環境配慮する上で取るべき手法として採用されています。
2 移入種の放逐等の禁止(第12条関係)
何人も、移入種の内、市内における地域の在来種を圧迫し、生態系に著しく悪影響を及ぼすおそれのある種の個体を放ち、又は植裁し、若しくはその種子をまくことが禁止されます。
3 自然環境保全活動推進員(第13条関係)
自然環境の保全に関する知識の普及及び活動を推進するため、自然環境保全活動推進員を設置します。
4 自然環境保全審議会(第14条から第19条関係)
審議会は、指定希少野生動植物種・保護地区の指定、その他自然と人との共生や生物多様性の確保に関する事項を調査審議します。
審議会は、市民・環境関係団体の代表者・学識経験を有する者から10人以内で組織します。
5 調査(第20条関係)
市長は、野生動植物の状況、野生動植物と人との共生のあり方等を調査します。